片山恭一「世界の中心で、愛をさけぶ」*2

この本は友人であるSから借りていたものです。前評判は高く、なかなか読み出せなかったのですが、今日からTVドラマも始まることですし、これもいい機会かもと思い、夕方に一気に読みました。
 結論からいうと、普通にいい作品だと思います。構成も難しくなくて、人物造形も感情移入しやすい。なにより誰もが経験した青春というものを下敷きにしているため物語が理解しやすいのです。
 
 僕が個人的に思ったのは、泣ける本だなと思いました。本を読んで泣くってよく考えるとすごいことじゃないですか。だって自分が経験してないのに、泣くわけですよ?これは不思議な現象だと思います。
 考えるにこの現象は、読み手の心に感情が高まるキーワードというものがありまして、そのキーワードに引っかかると、喜怒哀楽という感情表現になるんだと思います。ちなみに僕の心の引き出しには、感情の結晶が普通の人より沢山詰まっているようで、小説や漫画を読んで普通の読書をしない人に比べて明らかに多様な反応をします。この反応は場合によって良し悪しですが、感受性を豊かにしてくれる本ってやはり素晴らしいなと思います。
 
 さて、この本はおそらく普段小説を読まない人の方がより感情移入しやすく、そして深く物語を感じられたのではないかと思います。だから、300万部以上売れたのではないかなと。
 本好きとしては、どういう形でも人が本を読むということが続いていけばいいなと思いました。