松岡圭祐『千里眼 マジシャンの少女』小学館文庫 

 松岡圭祐の作品の魅力の1つに、リアリティというものがあると思う。現在進行している事象に対して、様々な分析を通して近未来予測ともいうべき考察をしているのではないだろうか。今回の作品の舞台はお台場の巨大カジノである。これも実際に石原都知事が提案して現在は一度棚上げされているが、そのあたりの経緯も上手く小説内に取り込んである点が見事だと思う。
 さて、今作の話題といえば、ついに勢揃いした松岡ワールドのヒーロー&ヒロインにある。「千里眼」岬美由紀、「催眠」嵯峨敏也、そして前作で登場した、「マジシャン」里見沙希といったそれぞれのシリーズの主人公が勢揃いした今作はまさに、エンターテイメントの極みである。

GAKU的評価 ★★★★☆