松岡圭祐『マジシャン』小学館文庫 

 すっかり松岡ワールドに嵌ったGAKUです(笑)。
 さて、この作品の主人公は、マジシャンを志す少女、里見沙希です。この少女と警視庁の舛城警部補が組んで、詐欺師集団と対決していくの話の骨子です。松岡ワールドではスーパーヒロインが登場しますが、このマジシャンでの沙希自身はまだマジシャンの駆け出しです。しかも大人に成熟してない幼さがあるため、見ていて大丈夫かいな?と思わす精神的な危うさがあります。しかし、それがこのヒロインの魅力を倍増させていることは間違いありません。

千里眼」シリーズの岬美由紀も他人の心は読めても自分の心の動きは中々読めません。「マジシャン」の里見沙希も大人びて見えて、マジシャンのテクニックは超一流ですが、その生い立ちの影響か、心を閉ざしておりいびつな精神構造になりかけています。二人とも両親を早くに無くしていることもあり、どこか共通したものを感じます。
 沙希が大人というものを信じて成長を遂げたように、若者と大人というのはお互いに影響を与え合っているものではないでしょうか。沙希のこれからの成長を期待して見ていきたいと思います。


GAKU的評価 ★★★☆☆