エジプト特集

古代エジプト 埋もれた記憶

古代エジプト 埋もれた記憶

 日本でエジプト学の第一人者である早稲田大学吉村作治さんの著書を2冊読んだ。どちらも素人にも解りやすくエジプト文明のポイントを紹介しているテキストなのでお勧めしておこう。

 実はこれらは福岡市博物館でこの間行われていた展示の会場で購入したものだ。僕は博物館や美術館で展示を見たあとにミュージアムショップで売られている関連書籍を買う癖がある。だから、同じ本でも普通に本屋で売られているときはスルーしていたものを、展示を見たあとだと思わず購入してしまうことが良くある。これは展示を見て刺激された興味のアンテナがしっかりとたっているからかなと思う。

 エジプト文明と何か?と聞かれると「死と再生」の文化ではなかろうか。死という人間にとって永遠のテーマを再生というキーワードで納得させているような気がする。再生を司るのは天体の運行であり、特に太陽に象徴される。太陽の必要とその繰り返す規則性は、太陽神ラーに象徴される。これとナイル川の氾濫と恵みという循環構造そのものが繰り返しという現象を日常として、人々の死生観に輪廻という概念を与え宗教構造に多大なる影響を与えていたと吉村先生の著書では教えてくれる。