やっと読了。
 何故かベット横に鎮座する読む本リストコーナー入りしてから、読む気がおきなかったので放置していたのだが、今回勢いをつけて一気読みをした。

 内容に書くとなんだか陳腐になってしまうのだが、一人の少年が少女に会ってそして・・・といった典型な「ボーイ・ミーツ・ガール」ストーリーになると思われる。もちろんそれだけで終わるわけはないだが。

 夏休み最後の日、8/31の日に中学校のプールに忍び込んだ浅羽直之が、手首に謎の金属球を埋め込んだ少女、伊里野可奈と偶然出会ってしまう。そこから始まる物語はまさに夏の日の陽炎のように淡くそしてせつなく心に迫る。
 少しだけおかしい世界。戦争が日常だけどそのことが当たり前になった世界。しかし世界は着実に最後を迎えていた・・・。

 長い物語の果てに、少年であった浅羽の夏が終わった、いや終わらせたということか。少女である伊里野は天空にて大切なモノを守って、自分が生きたと本当に思えたのだろうか。そのことだけがなんだか読んだ後になってもずっと心に痛みを伴って残った作品だった。