ウエンカムイの爪 (集英社文庫)

ウエンカムイの爪 (集英社文庫)

 熊谷達也のデビュー作。タイトルのウェインカムイとはアイヌ語で「人を喰った悪い熊」のこと。ちなみに良いクマはキムンカムイで、悪いクマはウエンヤップと呼ばれており、ウエンヤップの中で人食いクマのことを前述のウェインカムイという。アイヌとクマとは文化を形成しており、イオマンテと呼ばれるクマ送りの儀式で著名である。
次に北海道にいく機会があれば、アイヌ文化を勉強してみたい。

山背の里から―杜の都でひとり言

山背の里から―杜の都でひとり言

 熊谷達也のエッセイ集。東北にしっかりと根をはった著者の言葉は軸がぶれていなくて心地よい。前も紹介したときに述べたが、彼は生粋のライダーである。それもまた共感するポイントかもしれない。僕自身もいま田舎で若隠居状態だが、地域に根ざしたいなあと常に思う。福岡で根を下ろすのもいいのかもしれないが。

<伝統>とは何か (ちくま新書)

<伝統>とは何か (ちくま新書)

 出だしは相当面白い。あなたが今、伝統と思っている出来事は、実際はここ数十年から長くて百年ぐらいの重みしかないものと指摘する。伝統が我が物顔で横行していることを指摘するは痛快だ。しかし、残念ながら民俗学者柳田國男の解題になると、とたんにおもしろさが減少してしまう。序章のノリで全編やって欲しいかったというのが感想だ。伝統=柳田國男なのは民俗学の世界だけだと思う。

臨機応答・変問自在 2 (集英社新書)

臨機応答・変問自在 2 (集英社新書)

 前作よりは作者も公言しているようにおもしろさは落ちている。森博嗣の言い回しに慣れてきたためかあまり面白くないのだろうか。読んでみて僕がおっと思ったのは、森博嗣の名前は、(もりひろつぐ)じゃなくて、(もりひろし)だったことと(思いこみって怖いですね)、本人の最高傑作は現時点では「スカイ・クロラ」だと思っていることなどがあげられる。