奈須きのこ『空の境界』講談社

 
 かなり面白い作品だと思いました。GAKUはいわゆる超伝奇物、夢枕獏などにはとくにこだわりがあるほうなので、この『空(から)の境界』が新伝綺と銘打たれていることには前から興味がありました。いざ、本屋で買おうとすると売り切ればかり。人気の高さが伺えます。この作品は2001年12月に同人小説として発表されたものです。まず、同人作品が大手の出版社からリリースされることが珍しいことです。それだけ作品の力があったということですね。

 二年間の昏睡から目覚めた少女・両儀式(りょうぎ・しき)にそなわったあらゆるモノの死を視ることができる”直死の魔眼”の謎を軸に、式の友人である黒桐幹也、人形師蒼崎澄子や幹也の妹、鮮花(あざか)が織りなす伝奇大作です。
読み直してみる価値があると思ったひさびさの作品です。

ちなみに笠井潔の超伝奇から新伝綺への流れの解説は必読!よくまとめられております。
夢枕の評価があまり高くないのでちょっと残念ですが・・・。

GAKU評価は★★★★★